株式会社東田ドライ 専務取締役 東田伸哉さんにインタビュー

こんにちは、宅配クリーニングの申し子「クリ太郎」です。
前回の宅配クリーニングサービス『リナビス』の工場見学の記事に引き続き、リナビスを運営している東田さんにインタビューさせていただきました。
リナビスを創業した時の苦労や、スタッフさんとどのようにピンチを乗り越えてきたのかなど、リナビス立ち上げから今に至るまでのストーリーをたっぷりとお話いただきました。
リナビスを代表する「おせっかい」という言葉はどうやって生まれたの?

本日はどうぞよろしくお願い致します。
まずは、リナビスのホームページに何度も出てくる「おせっかい」という言葉についてですが、どういうきっかけで生まれたのかをお聞きしたいと思います。

実家の仕事を手伝うことになり、インターネットを利用してお客さんとの接点を作るためにリナビスのサイトを作ろうと決めたのは良かったのですが、うちの良さって何なんだろうと悩んでいました。
そんな時、忘れもしないエピソードがありまして。
確か冬の寒い時期で、お風呂上がりの21時ぐらいですかね、急に電話が入ったんです。
しかもそれが「始業式が明日やって忘れてて。。。息子の制服を受け取りたいから、お店を開けてほしい。」という内容だったんですね。

おお、いきなりパンチ力のあるエピソードですね(笑)。

若い僕の感覚からしたら、「そんなんお客さんの責任やからお店開ける必要ないやん。。。」と思っていたのですが、うちの母親はやる気満々で(笑)。
パジャマのままダウンジャケットを羽織って、「ちょっとお店行くからついてきて!」と言われました。
最初は「こんなん何の利益にもなれへんし、なんでこんなことするんやろう。」とイライラしていたのですが、「ん、待てよ?逆に、ここがうちの強みちゃうかな?」と思ったんです。
おばちゃんのおせっかいな気持ち=親切心で動いただけなんですが、すごくお客さんに感謝されているのを見て、「ここがうちの残すべき特徴やなぁ!」と感じました。

素晴らしいエピソードですね!そこから、リナビスのおせっかいが生まれたんですね!
リナビスは効率よりも「人」を重視している

では次に、リナビスの特徴と言えば高品質なクリーニングだと思うのですが、それを可能にしている要因は何なのでしょうか?

現場で作業するスタッフさんのお仕事の中で、例えば検品作業のような「人の手できっちりやる」というところは、できるだけ「効率」という言葉で締め付けることはしないように意識しています。
結局、ここを締め付けてしまうと品質も下がってくると感じています。
効率を目指すのではなく、スタッフさんのやりたいことを重視する。

お客さんの服を丁寧にクリーニングしたいという気持ちは、私より現場のスタッフさんのほうがしっかりと持っているんですよね。
そういう部分は、儲からないからと効率で締め付けずに、「やりたいようにやってええよ。」とお願いしておくと、その洋服に合ったクリーニングをしてくれているんです。
社員さんに限らずパートの方までもそういった空気感は伝わっていて、みなさん楽しくお仕事してくれているように感じています。
普通のクリーニング業界のトップであれば、1つの洋服にかける時間はできるだけ少なくしたいので「あんまり洋服を触らないで!」という指導を入れるのが普通なのですが、それは敢えてうちでは辞めています。

なるほど、だから普通のクリーニング店ではできない、丁寧なクリーニングが可能なんですね!
今のサイトが完成した後にえらいことになった

さて、先程お話にもあったサイトが完成した後、すぐにお客さんから注文が殺到して大変だったとお聞きしたんですが、その時のお話を聞かせていただきたいです。

繁忙期の前にやっとの思いでリナビスのサイトが出来上がり、少し落ち着いて休みが取れたので家族で食事に行ったんですね。
で、当時はスタッフさんを含めて3人でリナビスを回していたので、休みの日の電話は全て自分の携帯に転送していたんですが、それが鳴り止まなくて。
パスタを食べようとしたら電話が鳴り、電話のやり取りが終わって「やっと食べれる〜」と思ったらまた電話が鳴りがずっと続いて。。。

それは大変なことになりましたね!

結局、僕はパスタを食べられず、うちの奥さんに2人分食べてもらいました(笑)。
普段は凄く多くて20件ぐらいの電話が、1日で100件ぐらいに増えたのにはびっくりしました。
いきなり受注が増えて現場はどうなったの?

それは凄い!そうなると、現場の方たちは急に状況が変わって大変だったんじゃないですか!?

もちろん、今までになかったぐらいクリーニングする洋服の件数がグッと伸びたのは良かったんですが、検品が全然終わらない状況になってしまったんです。
3人しかいないところに、案件も当初よりどんどん増えて1日300件ぐらい洋服が届くようになって。。。
お客さんを集めたいという自分が望んだ現実は叶ったのに、いざ集まってみたら「こんなん望んでたんと違う。現場のスタッフたちにかなり無理をさせてしまう。。。」と、最初はふぬけ状態になってしまいました。

そんなとき1番最初に入社してくれた社員の女性が、「1個1個やればいつか終わるぞ」と自分に言い聞かせて頑張っていたんです。
そんな姿を見て、「専務という立ち場で青い顔しとられへんな。」と我に返りましたね。
さっそくすぐに立ち直って、現場に人を増やすことに集中したんです。
とにかく作業を終わらせられることに集中して、何とか全部の受注をクリーニングすることができたんです。

スタッフさん達がいなければ今のリナビスは無いんですね。素敵なエピソードですね!
こんな変わった案件ありました

ちなみに、それだけ洋服をクリーニングしていたら、「え!?こんなの届いちゃったの!?」みたいな案件とかってあったりしたんですか?

ありましたよ!イベント用の5mぐらいのマネキンが着る衣装が届いたことがあります(笑)。
1着目を見たときは「体が大きい方なんだなぁ」ぐらいに思っていたら、出してみると「いやいや、これは大きすぎる!」となって。

でも、それも全部クリーニングしました。
もう来ちゃったのでそんな大きい洋服を返すのも大変ですし、同じ料金でやってしまいました!

やっぱりリナビスさん、おせっかい過ぎますね(笑)。
家業を継いでみて良かったこと

インタビューのお時間も残り少なくなってきましたので、少し趣向を変えて東田さんご自身のお話を聞かせていただければと思います。
その若さで地元に戻って「家業を継ぐ」という選択はこのご時世非常に珍しいなぁと感じたんですが、実際に家業を継がれて良かったなぁと感じたことってありますか?

そうですね〜、もともと学生時代はけっこう遊んでいまして、「家に帰ったら仕事があるしまぁええか。」という感じで就職活動もしませんでした(笑)。
その流れで実家の仕事を手伝うことになるのですが、戻ってみたら自分が思ってたより業績が良くない。。。これは、売上を上げるにはけっこう大変だぞと感じました。

また、実は結婚も早かったのもあって新婚旅行も若いうちに行くことができたんですが、その旅行がめちゃくちゃ楽しかったんですね。
もう一度こんな感じで家族と旅行を楽しんだりするには、お金も時間も必要だと思ったんです。
それで、こりゃあしっかり稼いで成果を出さないといけないぞ!と。

現状を変えようと決意されたのですね。

さっそく実家に帰って決算報告書を見てみると、全然数字が良くない。
これは何とかしないと!と家族と会議を重ねました。
結局、言い過ぎて社長である父親と喧嘩にまでなってしまったのですが(笑)。
最終的に「おう、そんなら思うようにやってみろ!」とOKを貰うまで自分の考えを貫きました。

そうなると、自分との孤独な戦いになりますね。

ええ、苦労はしましたが、答えが見つかっていない「わからないこと」に対して仮説を立てて取り組む姿勢が大事なんだと実感しました。
また、自分で予算を決め仕事を作っていくといった、経営者としての動き方を若い頃から体感できた。
これが家業を継いで良かったことだと感じています。
結果が出ていない自分を否定しながら、現状をしっかり分析し、「こういったことを次にしないといけないのでは?」と常に考えながら動いたことが今の自分に繋がっています。

並大抵の努力ではできないことですね。素敵なお話をありがとうございます。
今後の目標について

それでは最後となりますが、今後の目標について教えてください。

季節需要の変動に対応したいという目標があります。
宅配クリーニングの繁忙期が春〜夏前なので、それ以外の時期は、
- ブランドバックのメンテナンス事業
- 服のリサイクルショップなどとの連携事業
この2つの事業も育てられるように動いていこうと考えています。

また、私自身も今までの経験を活かして、クリーニング業界のコンサルタントを業務と平行してやっていこうと考えています。
クリーニング業界を悲観している方の助けになれるよう頑張りたいと思います。
さらに、クリーニング業界は内輪で活動してしまうパターンが多いので、どんどん他業種の方とも関わりを持つことを意識して行動していけたらいいなぁと思っています。
インタビューまとめ
今回お忙しい中お時間をいただき、東田さんにリナビスのことについて詳しくお話を聞かせていただきました。
目をキラキラと輝かせながら、昔リナビスで起こったスタッフさんとのエピソードを楽しそうに語っていた姿を見ていると、本当にスタッフさんのことを大切にしているんだなと感じました。
そりゃあ現場の方たちも楽しくお仕事ができるわけです。
普段からみなさんと仲良くコミュニケーションを取っているそうで、今回の工場見学中にも冗談を言って若いスタッフさんを笑わせたりとお茶面な一面もある東田さん。
また、みなさんがもっと働きやすくなるように、機械化も進めているそうです。
例えば、「RFID」という小さなチップを導入して、お客さまからの到着衣類を探す道具をクリーニング業界でいち早く取り入れたりしています。
このシステムのおかげで、スタッフさんが洋服を探し出す労力がかなり削減されたとのこと。
こういった取り組みも、しっかりと現場の方々とコミュニケーションを取らなければできないことだと思います。
また、後継者育成にも力を入れていて、普段からマーケティング担当の井町さんとタッグを組んで、より利用しやすいリナビスを目指して改善を重ねているそうです。
ご自身の実家の事業を立て直し、さらにはクリーニング業界をもっと盛り上げていこうとする東田さんの活動に、今後も目が離せませんね。
東田さんの運営するリナビスの宅配クリーニングが気になる方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてくださいね!